音楽好きな脳―人はなぜ音楽に夢中になるのか

音楽好きな脳―人はなぜ音楽に夢中になるのか

音楽好きな脳―人はなぜ音楽に夢中になるのか


音楽と脳の関係を科学的に分析し、社会・文化・生物とのつながりを考える。音楽をテーマとし、科学的な切り口で分析する本という割と珍しい本。

アウトプット

音楽を聴くと、空腹時の食事に似て、欲求が満たされるのだろうか?それとも美しい夕日を見るのや、マッサージをしてもらうのに似て、脳の感覚的快楽感知システムが働くのだろうか?年齢が上がるにつれて、新しい音楽をためしてみないようになり、自分の好みの音楽に凝り固まるのはなぜだろう?これは音楽と脳がどのように共進化したかの物語だ―(p.21)

作曲家エドガー・ヴァレーズが定義した有名な言葉によれば、「音楽は組織化された音響<サウンド>だ」。(p.25)

音楽は分子の振動を組織化したもの。

耳を持っていない種で、人間と同じように聞くという内部経験をもたない種を想像することはできる。けれども、高度に進化しながら、振動している物体を何らかの方法で感知する力をもたない種というのは想像がつかない。大気があればどこでも、動きに反応して振動する分子がある。そして、何かが雑音を発しているかどうか、あるいは(暗かったり、目がそっちを見ていなかったり、眠ったりしていて)見えないときでも、何かが自分の方に向かってくるのか遠ざかっているのかを知る力は、生き残りにとって偉大な価値がある。(p.59)

音は振動する分子である。

脳はどうやって、鼓膜に衝突するまとまりのない分子の混合から、外界に何があるかを判断するのだろうか。とくに、音楽を聴くときにはどのようにしているのだろうか。
その答えは、特徴抽出のプロセスに続いて、特徴統合という別のプロセスを用いるというものだ。(p.132)

音が振動であるなら、鼓膜の中でその振動を整理して統合する必要がある。

記憶はニューロンのグループによってコード化され、それらが正しい値に設定されて一定の方法で構成されると、記憶が呼び戻されて、心の劇場で再生される。思い出したくても思い出せない壁があるのは、それが記憶に「保管」されていないからではない。問題は、該当する記憶に辿り着く正しい手がかりが見つからず、神経回路を適切に構成できないことにある。(p.211)

記憶は手がかりとなる情報をもとに構成され、再生される。記憶する時に手がかりをたくさん作れば記憶し易い。

記憶は音楽を聴くという経験に、あまりにも深淵な影響を与えるため、記憶がなければ音楽は無いと言っても過言ではない。・・・(中略)・・・音楽は、私たちが聴いたばかりの音を記憶に蓄え、それを耳から入ってきている音と関連づけることで、成り立っている。(p.212)

音楽ってなんとなく耳にしているだけで覚えてることが多い。あーこれ聴いたことあるわー的な。

私たちがある曲を好きになるのは、以前に聴いた別の曲を連想し、それが人生の感傷的な思い出にまつわる記憶痕跡を活性化させるからだ。(p.245)

音楽=思い出???

私たちは友達と同じ音楽を聞く。若くて、自己を確立しようともがいている間ならなおさら、自分と同じようになりたい人、どこか共通点があると感じられる人と、社会的な集団を作って絆を結ぶ。その絆を具体的に表す方法として、同じような服装をし、一緒に活動し、同じ音楽を聞く。自分のグループはこんな音楽を聴いているけれど、あいつらはあんな音楽を聴いている。こうして、音楽は社会的な結びつき社会行動の結束を強める働きをするという、進化論的な考え方につながっていく。音楽と音楽の好みは個人とグループのアイデンティティーを表し、それぞれを区別する目印となりるのだ。(p.294)

音楽は個人・グループの社会的なアイデンティティの役割を果たす。


以上。
この本でも何度も名前が出てくるけど、Joni Mitchellは本当に、良いな!