小さな会社が顧客満足について考えるとき

「じゃあうちの会社の目的って何なのかしら?」
顧客満足に貢献する事じゃないかな。そうしないと歴史に残る大企業に、僕たちはなれないよ。サイバーの藤田社長も、ザッポスのトニー・シェイもそう言っていたよ。確か、ビジョナリ―カンパニーじゃなかったかな。」
「良い答えね。じゃあうちの会社で今それが実践できているかと言われたらどうかな?」
「確かに。僕たちは自分たちの利益にしか目が向いていなかったかもしれない。自分たちがどれだけ儲けられるかって事が先にきて、顧客が何を望んでいるかを真剣に考えていなかったかもしれない。」
「顧客が望んでいる事はわかる?」
「大体はね。でも僕ら提供するサービスって、それぞれにとって価値が異なるじゃない?みんなのニーズを画一的に満たすことはできないと思う。」
「そうね。一般化してまとめてみようか。」

我が社の課題
  1. 顧客の潜在的なニーズを把握できていない
  2. プロダクトにカスタマイズを加えていくため、製造期間が長く長期仕掛かりを抱えてしまう

「概ねこの二つがうちの会社が抱えている大きな課題だよ」
「正解。一点目は根幹的な問題ね。今は業界のトレンドのおかげでみんなうちの製品を買ってくれているけど、私たちは実は本当のニーズを考えてきていないの」
「確かに。たまたまみんなが欲しい物を提供できるのが、うちの会社だけだったからね。これから他社がシェアを伸ばしてくる事だって考えられるし、そうなってくればより戦略的にビジネスを進めていく必要があるよ。」
「そうね。じゃあ、顧客の潜在的なニーズっていうのは何だと思う?」
「みんなと同じ物を気軽に、安く、便利に使いたいってところじゃないかな。」
「正解。分かってるじゃない。今はうちの製品がその条件を満たしているだけ。じゃあそれに対して我が社の取り組みとして何ができるかしら?」
「それぞれの精度を高めていけば良いと思う。そもそものニーズは満たしているから、今の段階では革新的なことは必要ないよ。」
「そうね。じゃあ将来的には?」
「ニーズが多様化してそれに対応していくか…そうしたら何かもう一つ、付加価値を付けないといけない。」
「正解。でもそれはまだ大丈夫。今の段階では必要ないわ。準備をしておく必要はあるけど。」

「二点目の問題はどう?」
「こっちの方が重大な問題なんじゃないかな。うちの経営に関わる。」
「そう。サービス提供を初めてまだ時間も経っていないし、製造期間が長くなってしまうのね。」
「どうすれば解決できるかな?」
「製品を使う目的は限られているというのがポイントなの。私達は今お客さんから言われて色々な仕様の製品を作っているけど、逆にこちらから型決め提案をすることで、仕掛かり期間を短くする事ができるわ。」
「なるほど。目的と型決め提案か。」
「もちろんそれ以外にも、製造ラインの人間を増やしたり、工場を拡大するという方法もあるわ。でもそれは二次的な問題。現状としては先ずやらなければいけないことではないわ。」
「確かに。色々と改善の余地はあるってことだね。」
「そう。先ず私達がしなければいけないことは、顧客満足に資するために潜在的なニーズに対応すること、そして、現実的な経営課題として製造期間を短縮する必要があるの」
「良くわかったよ。ありがとう。先ずはできるだけやってみようと思う。みんなが幸せになれれば僕も嬉しいし、会社も発展する。」
「大丈夫。あなたは一人じゃないんだし、私も手伝うわ、一緒に頑張りましょう。」