インターネット上では「リアルでの実体験」が希少価値を持つ

インターネットという技術によって、情報収集の速さ、量は圧倒的に拡大した訳ですが、情報量が増えると言うことはそれだけ玉石混合ということでもあると思います。

ITによって変わる時間配分? | 石倉洋子の公式ウェブサイト

慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の教授でおられる石倉洋子先生のブログです。僕はいつも楽しみに読んでいるのですが、無謀にもこちらのエントリにコメントを書かせて頂いたところ、今日の記事でその事に言及して頂いていたので、少し思った事を書こうと思います。

今はインターネット、そしてグーグルなどの検索サービスさえあれば、大体のことは調べられるかと思います。勿論、専門分野の研究をするような場合は別ですが、日常生活をしていく上で必要となる情報は、殆どが手に入ると言ってもよいと思います。その点に関しては、本当にインターネットは便利で良い物だなぁと思っています。しかし、裏を返してみると、誰でも同じ情報にアクセスできる環境ということは、インターネットで検索サイトを使うことができる人であれば、保有できる情報レベルは同じと言う事になります。質や量の問題は当然ありますが、これだけオープンな世界で情報が公開されているため、情報格差が縮まってきたという言い方も出来ると思います。そうなってきた時に、希少となってくるという情報というのは、以下の二つではないかと考えています。

  • 専門分野の研究や非公開情報
  • 実体験

専門分野ということになると、書物で体系的に情報がまとめられているという点では、まだそうした紙媒体の方が希少なのではないかと思います。非公開情報も同じで、オープンな世界に出て来ない情報というのが、イコール情報としての希少価値を持つと言う事になります。しかし、僕が面白いなァと思うのは、どちらかというと二番目の実体験です。

実体験の良さというのは、何よりもその信頼性にあると思っています。例えば、今は色々なウェブサービスがありますから、「このお店の料理は美味しかった!」とか「この雑貨屋さんはとても良い雰囲気だった!」という実体験を共有する事が出来ます。こうした情報というのは、以外と探しにくいです。正確には、探す事自体はできるものの、信頼性があり、かつ比較対象となる経験談を並べる事ができるかということがポイントになります。

イメージし易いのはぐるなび食べログの口コミです。以前その評価のやり方に騒動があったようですが、ああした形でユーザの実体験を並列的に眺める事ができるというのは、とても見ていて面白いですし、何よりもその情報に対する信頼度が高まります。amazon.comのレビューなんかも、同じような機能を果たしていると思いますし、他にも、読書メーターやRettyなど、実体験をSNS的な機能で共有するウェブサービスがたくさんあります。

さて、何が言いたかったのか、完全に横道にそれた気がしますが、「実体験」という情報は、非常に価値があると言う事です。先人の知恵と言う言葉がある通り、何かをする時には、前に同じ事をしたことがある人から話を聞く事は、とても有意義なことですし、判断の評価軸としても有効です。多くの情報を手に入れられるようになった今の環境でこそ、そうしたリアルな声が、回り回って価値を持つのではないかなと思います。要はインターネットだけやってもも、インターネットは面白くならないよ!という事で、今日はリアルで何を体験したかなァと想いを馳せたりする訳なのです。