生命保険のカラクリ (文春新書)

生命保険のカラクリ (文春新書)

生命保険のカラクリ (文春新書)

生命保険って良く分からないと言うのが正直なところ。自分も入社した時に保険に入ったけど、代理店経由だから商品がどこの会社のものだったのかとか覚えてない。確か死亡保障じゃなくて怪我をした時のための保険で月に2000円くらい払っているんだけど、どんな時に保険金を受け取れるのかもよくわからない。厚生年金にも当然加入しているけど、その厚生年金で仕事を引退した後にどれだけの年金が支払われるのかも良く分からない。つまり、保険の知識が全くない!なので、この本を読んで少し勉強しました。取り敢えず、今度会社の給与明細を見て、自分がどんな保険に入ってそれが本当に必要なものかどうかを調べてみようかと。一概に保険が悪いと決めつけたり、不当に保険料を支払わされていると言う前に、ちゃんと勉強することが大切だと思いましたよ!

memo

「共助」を担うのが、民間の保険会社の役割である。にもかかわらず、生命保険会社は保険金の不払い問題に代表されるように、消費者の信頼を失っており、本来の役割を果たせていない。

業界が一体となって、あるべき立法や規制の方向性、契約者保護のための運営の在り方について定期的に情報交換を行い、足並みを揃える事を否定するつもりは無い。しかし一般市民の感覚からすると、業界全社がこれほどまでの頻度で一同に会し、多岐にわたって情報交換を行っていることは奇異に写った。

そして、我が国の大きな特徴として、生命保険料の総額が大きいだけでなく、一人当たりが加入している保険金額(死亡保険の保障額)が群を抜いて大きい事が挙げられる。

貯蓄性の商品と保障性の商品を比べた時、払い込む保険料は同じでも、利益は後者の方が何倍にもなりうる。

この分析によれば、典型的な定期保険(掛け捨て型保険)について、全体の35%〜62%までが保険金の支払いでなく、生命保険会社の経費や利益に当てられている事が分かる。

そして気が付けば、外資系生保が保険料収入に占めるシェアは三割近くにのぼっている。銀行や証券等、他の金融分野で、外資系がこれほど大きな市場シェアを持っている例は少ない。

「生命保険は、文明がこれまでにもたらしたものの中で、悪党が最も利用しやすい、便利で永久的な巣窟であると信じるようになった。」

このように、「保障」と「貯蓄」は、相異なる性格を持っている。保障は、死亡保障のように、発生確率は低くとも、起こってしまうと経済的損失が大きい「万が一の事態」に対して備えるものであるのに対して、貯蓄は起こる可能性の高い、将来の出費(住宅の購入、子どもの教育費、老後の生活費)に備えるものである。

生命保険商品には、大きく分けて次の三つの機能しかない。

  1. いざと言う時に、残された家族のための所得保障(死亡保障)
  2. 病気・ケガによる入院・手術のための保障→医療保障
  3. 将来に備えるため→生存保障(貯蓄・年金)

保険と言うものは、保険料を沢山支払えば、保障範囲を広げる事が出来る。「一生涯の保障」は、その分保険料を沢山支払うことに、同様に、「割安な保険料」はその分、保障範囲が狭くなる事を意味している。

仮に、国の社会保障の給付が完全であれば、民間の保険会社などは必要無い事になる。(中略)したがって多くの場合、人々は国による保障を補完するために、保険会社の生命保険に加入するのである。

古くは、ローマ時代に由来する組合的な相互扶助の仕組みとして、組合員が各自少しずつ資金を拠出し、事故にあった人のためにそのお金が使われる、というもの。その本質は、「何かがあったときのために、皆で備えておきたい」という、人々の素朴な気持ち、そして人間の生活の知恵があるだけだった。

保険に賢く入るための七か条

  1. 死亡・医療・貯金の三つに分けて考えよう
  2. 加入は必要最低限、を心がけよう
  3. まずは中核の死亡保障を、安い定期保険で確保する
  4. 医療保障はコスト・リターンを冷静に把握して、好みに合ったものを選ぶ
  5. 貯蓄は金利が上がるまで、生保で長期の資金を塩漬けにしてしまうのは避けよう
  6. すでに入っていても「解約したら損」とは限らない。見直そう
  7. 必ず複数の商品(営業マンではない)を比較して選ぼう