化物語(上) (講談社BOX)

化物語(上) (講談社BOX)

化物語(上) (講談社BOX)

アニメでしか見たことがなくて原作を読んでみたかったので、年末年始の休みを利用して読んだ。アニメと同じ掛け合いが文章で書かれているのを見て、これが化物語の面白いところだよなァとしみじみ。ライトノベルで短編のシリーズ物になってくると、同じ流れで話が展開することが殆どだと思うけど、毎回異なる怪異の筋書きを作るのは勿論のこと、よくもあれだけの掛け合いを書ける物だと感心してしまう。ライトノベルって漫画のようなものだし、話のテンポがすごく大事になってくるので、人気のある作品はこういう話のテンポが良くて受けているタイプの作品が多い。まあぼくが好きでそういう本を選んでるだけかもしれないけど。

ひたぎクラブ

「あんな程度じゃないんだよ。あんな程度で十分と言うべきかな。結局、こういうのって心の持ちようの問題だからさーお願いできないなら、危険思想に手ェ出すしか無いんだ。鬼や猫を相手にした時のようにね。言葉が通じないなら戦争しか無いーのさ。この辺はまるで政治だね。ま、このまま潰しちゃった所で、それでも一応、お嬢ちゃんのの悩みは、形の上では解決するからさ。形の上ってだけで、根っこの所は残っちゃう姑息療法で、草抜きならぬ草刈りって感じで、僕としては気の進むやり方じゃないけれど、この際それもありかなってー」

まよいマイマイ

「祓ったり拝んだりは必要無いと言うことなの。取り付いている訳でもないし、障っているわけでもないーそう。私の時の蟹と、それは同じね。そして、更に、蝸牛の場合、対象となっている人間の方から、怪異の方に寄っているらしいの。しかも、無意識とか前意識とかじゃない。確固たる自分の意思でね。蝸牛に自分が付いていってるだけ。自分から望んで、蝸牛の後を追っているだけ。だから迷う。だから、阿良々木くんが、蝸牛からはなれればーそれでいいというわけ。」

するがモンキー

「無意識だろうさ。勿論。そんなことを願ったのは、無意識の内だったとは思うぜ?意図的にそうしていたなら、そうとわかるはずだから。本人の自覚としては、『足が速くなりたい』と願ったに違いない。だが、それは表で、裏は違う。その願いの裏には、暗い願望があったのさ。同級生を見返してやりたいとー同級生をぶちのめしてやりたいと。お嬢ちゃんは無意識であっても、そう願ったんだ。悪魔はその願望を、見抜いた。願いの裏を読んだんだ。でも、それは、お嬢ちゃんには、本当の所は、分かっていたはずなんだぜ?無意識とは言え、正直な自分の気持ちなんだから。けれど、そんなことを自分で認めたく無いから、その現象に別の解釈を求めた……それが『猿の手』だったんだろう。願いが叶う云々じゃなくて、意に添わぬ形でーという、その文言こそが枢機だったんだろう?同級生を襲ったのは、あくまで自分の意志じゃないと言う、精神的言い訳。まあ、大事なことだよね」