2011年の僕の行動に影響を与えたオススメ本はこの10冊

毎年恒例の年末本まとめランキングを書いてみる。2011年に読んだ本の中で、特にぼくが行動する際の選択肢に影響を与えたかという視点で選んだので、新刊・既刊や本のジャンルは定めていない。
ちなみに2011年はあまり本を読んだ記憶がないので過去のブログを見ていたら、どうやら37冊くらいしか読んでいないらしい。まあこういう年もあるよね!と一昨年のブログを見返してみたら、2010年は20冊くらいしか読んでいなかったらしい。確かに会社に入ってから読書冊数が減った気がするけど、これだけ読書量が減ってしまうともはや本が好きですとも言えなくなってくる。

とは言え、去年はインプットよりもアウトプットの年だったのではないかと、振り返って思う。そもそものスタート地点として絶対的なアウトプット量が不足していたのは認識していたし、そのために人に会ったり効果的な発信行為ができるような意識もあった。7月くらいにもアウトプットの必要性に追われているような記事を書いている。

そうした意味で言うと、ある程度インプットを置き去りにしてもアウトプットを重視した行動は一定の評価に値するのか?などと考えもするが、単純に読書というのは娯楽でもあり、人間を形成する一つの大事な要素でもあるので、今年はもう少し本が読めるようがんばりたい。
ちょっと脱線したけど、以下から本題。

  • オススメ本Best10
    1. 天皇と東大 大日本帝国の生と死 上
    2. 20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義
    3. 顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか
    4. フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか
    5. つながり 社会的ネットワークの驚くべき力
    6. アーサー王と円卓の騎士―サトクリフ・オリジナル
    7. レトリック感覚 (講談社学術文庫)
    8. フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略
    9. イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」
    10. リッツ・カールトンが大切にする サービスを超える瞬間

天皇と東大 大日本帝国の生と死 上

天皇と東大 大日本帝国の生と死 上

天皇と東大 大日本帝国の生と死 上

下巻未だ読んでないんだけど、今年何が面白かったかと言えば、これしかない。

本書の内容は「東大論」というよりは、日本の近現代史そのものである。鎖国の時代が終わった後、日本という近代国家がどのようにして作られ、それがどのようにして現代日本(戦後日本)につながることになったかを、「東大という覗き窓」を通して見た本である。言ってみればメーキング・オブ・現代日本というおもむきの本なのである。

実は今年の夏頃はずっとこれを読んでいた。というのも、物凄いボリュームで、読んでも読んでも中々読了に至らなかったのだ。
僕は近代日本史というものに疎いのだが、この「東大という覗き窓を通して近代日本史を紐解く」というスタンスが非常に痛快だった。
現代の日本が作られていく過程には、必ず「人の意思」が存在し、そこから大きなうねりが引き起こされてきたということが、とても詳細に描かれている。
現代政治を学ぶことも僕にとっては重要なのだが、それ以前の前提知識として、こうした歴史の因果関係を押さえておく必要がある。

20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義

20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義

20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義

  • 作者: ティナ・シーリグ,Tina Seelig,高遠裕子
  • 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
  • 発売日: 2010/03/10
  • メディア: ハードカバー
  • 購入: 475人 クリック: 17,353回
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こんな素敵な本が他にあっただろうか。若者の可能性は無限にあるのだということを、とても分かりやすく教えてくれた。

人間は二つのタイプに分かれる。自分のやりたい事を誰かに許可されるのを待つ人達と、自分自身で許可する人達。誰かがチャンスをくれるのを待つのではなく、自分で掴みに行った方が良い面がたくさんある。

元来ぼくは、自分の気が付かない潜在的な部分で、行動に対してストップをかけてしまっているらしい。
実はそうした「行動を起こしたと時のリスク」というのはそこまで大きくなく、むしろ「行動を起こさない不作為のリスク」のぼくの人生に甚大な影響を与える可能性が高い。
本書にもあるように、失敗を経験し、成功も経験する中でこそ、しっかりと深く学ぶ事ができるのであって、のうのうと高みの見物を決め込んでいても、時間が過ぎて身を滅ぼすだけである。
いつになってもチャンスがなくなることなんて無いんだから、失敗できるうちに嫌って言うくらい失敗しようぜ!

顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか

顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか

顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか

この物語に惹き付けられるかとのは、「自分の可能性を信じ」て「明確なコアイシューを掲げて実行」するトニー・シェイのベンチャー・スピリットが、大衆に訴えることに成功しているからだと思う。
単なる経営理論を駆使しただけでは辿り着けない「最高のカスタマーサービスの提供」という結論が、理論立ての微少な経営理論しか知らない僕の脳に突き刺さる。
またトニー・シェイはオラクルに入社してもすぐに辞めてしまうのだが、そこで彼の考える労働観、人生観が、ぼくにはとても新鮮なものに感じられた。

そして入社後間もなく、彼は会社を辞め、ベンチャーを立ち上げるという選択肢を選ぶことになる。それは、魅力的な給料の代わりに、自分の情熱を追い求めるという決断であった。

金銭だけを目的に働くと言う事は人間には不可能であり、どれだけ自分の可能性を信じてキャリアを作るのかということに終始するのではないだろうか。

フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか

フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか

フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか

インターネットの普及によってもたらされたオープンな世界が、これまで僕を縛り付けていた「組織」と「個人」の関係を塗り替える。
大企業で働く方が安定しているからという固定的観念は既に過去の遺物であり、株式投資と同じように「自分という資源」を分散投資すべきだと著者のダニエル・ピンクは主張する。
インターネットを自由に使えるようになってから感じていた微妙な「違和感」(=個人で活動する人達の存在)を、非常に分かりやすく説明してくれる良書。
これだけどれだけのフリーエージェント人口が増えてくるのか、ぼくは本書で提起されているように、今後さらに「小規模のプロフェッショナル企業」が増えていくと考えている。

つながり 社会的ネットワークの驚くべき力

つながり 社会的ネットワークの驚くべき力

つながり 社会的ネットワークの驚くべき力

ぼくたちは平均して「6次の隔たり」によって相互に繋がっており、あらゆる言動は、「3次の影響のルール」によって、友人の友人の友人にまで影響を及ぼす。
自分の周りの環境を、統合的な社会的ネットワークと考えたことはこれまで無く、自分の行動も他人の行動も、ネットワークによってい全て伝播しているのだと言うことを強く意識させられた本。
しかも「グローバルキャリア ―ユニークな自分のみつけ方」の著者である石倉さんも、著書の中で同じ内容のことを述べている。

新しい事をやりたい人が多く、実際にそれが出来る地域、業界、組織に身を置く方が、キャリアの広がりは大きい。
グローバルキャリア ―ユニークな自分のみつけ方 - THINK CIRCUIT

これこそ、ネットワークが自分の行動に影響を与えていると言うことに他ならない。
元来、這い上がるための最も効率的な手段は、今よりも上の環境に身を置いて、無理矢理にでも成長せざるを得ない状況を作る、というのがぼくの基本スタンスだが、どうやらこのやり方は間違っていなかったらしい。
2012年も人様に迷惑を書けないように無茶しよう。

アーサー王と円卓の騎士―サトクリフ・オリジナル

アーサー王と円卓の騎士―サトクリフ・オリジナル

アーサー王と円卓の騎士―サトクリフ・オリジナル

アーサー王と聖杯の物語―サトクリフ・オリジナル〈2〉 (サトクリフ・オリジナル (2))

アーサー王と聖杯の物語―サトクリフ・オリジナル〈2〉 (サトクリフ・オリジナル (2))

アーサー王最後の戦い―サトクリフ・オリジナル〈3〉 (サトクリフ・オリジナル (3))

アーサー王最後の戦い―サトクリフ・オリジナル〈3〉 (サトクリフ・オリジナル (3))

魔術的な世界観とは何故こうまでして魅惑的なのか。元々の性質としてぼくがそうした厨二的な世界観が好きな事も起因しているはずだが。
アーサー王物語を読んで一貫して感じるのは、このケルト物語は愛と、それにまつわる婦人のための冒険がメインテーマであるということだ。
第1巻に出てくる愛の男トリスタンはこう言う。

「イズーを火の中で死なせるわけにはいかない。救い出すか、いっしょに死ぬかのいずれかだ」

終止このペースで話が進む。騎士達が戦うのはアーサー王の名誉を守るための冒険か、婦人に尽くすための冒険のどちらをとっても物語とは思えないリアルな感情変化が描き出される。
また全ての冒険においてそれぞれのキャラクターの生い立ち、苦悩、人間関係が描き出され、誰もが主人公になれるようなプロットは、アーサー王物語ならではの楽しみである。

レトリック感覚 (講談社学術文庫)

レトリック感覚 (講談社学術文庫)

レトリック感覚 (講談社学術文庫)

他の文章本と違い、徹底して文章を「飾る」技術について教えてくれる良書。
レトリック表現とは「説得する表現の技術」と「芸術的表現の技術」とに分かれるが、本書で語られるのは、「事実を余すことなく伝えるための表現技術」とでも言おうか。
レトリックを単なるテクニックと卑下するのは簡単だが、テクニック的な修辞表現によってより真実に近い概念を想像することが可能だ。
日本語文章の修辞技術は単に目に鮮やかな表現をするだけでなく、どれだけ「読者」の印象に残すことができるか、つまり、真実味をもって読ませることが出来ることができるかということなのだ。

フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略

フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略

フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略

かつては体系的に明示されていなかったのフリー・ビジネスモデル。
いまでもなぜこのサービスが無料なのか?と思う時があるが、その収益モデルを直接的内部相互補助・三者間市場・フリーミアム・非貨幣市場に分けて説明する。
重要なのは、一つのサービスが顧客との間で成立した場合、そのサービスに対する直接的な売買契約は存在しなくても、付帯するビジネスが無数に発生しうるということだと思う。
僕も遊びでビジネスモデルを考えたりするが、この「直接には金銭を求めない」という考え方は、思考に横の幅を持たせる非常に良い手段である。

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」

イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」

ビジネス上の問題解決の手法として、マッキンゼーコンサルティング・ワークを限りなく現場に近い思考レベルで文章に落とし込んむ。
この思考プロセスを使えば、本質的な課題について最大の効果を産み出す戦略を起てることが出来るだろう。
問題は、ぼくのようにコンサル思考経験の浅い人間にとっては、この思考プロセスを使いこなすことができないとうことだ。
自分もそれを問題に感じてGlobisでクリティカル・シンキングを受けたが、レポート作成ではこてんぱんにやられる結果となった。

この経験は、未だ自分がそうした思考技術を知っていても、十分に使いこなせるレベルに達していないという事を思い知る非常に良い経験となった。2012年の思考能力的な目標はこの向上にある。

リッツ・カールトンが大切にする サービスを超える瞬間

リッツ・カールトンが大切にする サービスを超える瞬間

リッツ・カールトンが大切にする サービスを超える瞬間

リッツ・カールトン顧客満足で非常に高い評価を得ることが可能なのは、彼らが自らの提供価値を「顧客満足」と位置づけ、個々の商品・サービスはそれを実現するための手段に過ぎないと考えているからである。
多くの顧客満足の向上を目指す企業は、商品・サービスが彼らの提供価値であり、顧客満足はそうしたサービスに付帯するものと位置づけているため、リッツの場合にはその点が他の多くの企業と異なる。
また重要なのはそうした経営理念を掲げているだけではなく、それぞれの従業員がリッツ独自のクレドを胸に、高いホスピタリティを提供できることにある。
どの会社にも社訓はあるが、リッツの場合には「クレドは従業員が心から納得できるまで、何十回でも何百回でも繰り返して読む」というように、クレドが非常に深いレベルで浸透している。
これだけのこだわりを持ったサービスに、一度触れてみたいものだ。

以上

今年も既にスタートしてるけど、良いお年をおおくりください!おすすめの本が会ったら教えてくれると喜びます。