ハーバード流人的資源管理「入門」

ハーバード流人的資源管理「入門」

ハーバード流人的資源管理「入門」

本書にも述べられているが、人的資源管理とは、いかにして組織内の人々を管理するかである。終身雇用制度が崩壊した今、いかに優秀な人間を組織に残す事が出来るかということが、組織のパフォーマンスにかかっている。人的資源とは流動的なもので、それぞれ組織で働くモチベーションは異なる。そのため、各々が組織で働くモチベーションを維持できるようにすることは、大変重要なテーマとなる。難しいのは、人的資源管理の評価であると思う。売上・利益と言った定量的な尺度では測りきれない部分が多くあるため、人的資源管理が上手く機能し、また、今後の人的資源計画が効率的に策定されているかということが、評価の対象となるべき。

memo

人的資源管理とは何か
人的資源管理のかなめは、いかにして組織内で人々を管理するかである。

  • チームの編成と育成:雇用、研修、人材育成、昇格、異動、解雇、
  • チームへのインセンティブ:賞罰、報酬、昇格
  • 公正な待遇:従業員の権利、法律、規制の遵守
  • ワーク・ライフ・バランス:健康、ストレスの軽減、仕事と家庭

人的資源計画とは、人的資源に関する課題とそれへの対応である。

人的資産は資産として計上することはできず、いつでも自分の意志で荷物をまとめて会社から去っていくことができる。

人的資源管理に関わるプロジェクトの経済的効果を総合的に評価するのに必要な労力は、膨大である。また、直接把握できるものではなく、推定が必要になるので、必ずしも正確とは言えない。

一般的に訓練とは「何かをする方法を学ぶ事」である。教育は「なぜ物事がそうであるののかに関して理解を深めること」である。簡潔に言うならば訓練は行動を学ぶ事であり、教育は考えることを学ぶ事である。

会社が成功するか失敗するかは、そこで働く人々のパフォーマンス(業績)にかかっている。マネジャーはパフォーマンスを重視し、パフォーマンスが向上するか否かをあらゆる活動の指針とする。従って、部下の業績を評価し、それに基づく報酬を支払う事は経営目標と完全に一致している。

企業の社員のやる気を継続させるためには、一つ上の欲求、そのまた一つ上の欲求を満たしていくような報酬を提供しなければならないということである。
マネジャーは、自己実現欲求をくすぐってやる気を出させる報酬制度を考案する事によって、この態度を奨励すべきである。

福利厚生の元来の目的は戦時中に賃金統制の網の目をくぐって従業員に価値のあるものを与える事であった。

均等な扱いは給与、昇格、それ以外の面にも及ぶべきものである。つまり均等な雇用機会とは、就職だけではなく職場において均等なチャンスが与えられる事を意味する。

終身雇用の崩壊と共に、心理的契約の意味も失われていった。代わって、個々の雇用関係(すなわり解約任意雇用)の重要性は一気に高まった。企業は従業員の雇用保障に関心を示さなくなり、従業員側も企業への忠誠心を失った。

ワーカホリックのひとはある時点で意気消沈する可能性が高い。失ったものを悔やむ気持ちに圧倒されるのだ。なぜなら、仕事だけでは人生に満足できないからである。