起業のファイナンス ベンチャーにとって一番大切なこと
- 作者: 磯崎哲也
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
- 発売日: 2010/09/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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読書メモ
- ベンチャー企業の「生態系」を作り上げる事が必要
- ベンチャービジネスとは何か
- 資本市場は「オープン」でないと成立しない
- ベンチャー企業が株式で資金調達をする理由
- キャピタルゲインはどのように生み出されるか?:(その2)バイアウト
- バイアウトする側の企業は、なぜベンチャー企業を買うのでしょうか?
- 「時間を買う」
- 「イノベーションのジレンマ」
- 「販売体制」
- バイアウトする側の企業は、なぜベンチャー企業を買うのでしょうか?
- 上場とはどういうことか
- ベンチャー企業への投資
- ベンチャーキャピタルが日本で投資をしている残高は2009年3月末時点で約9,500億円、1年間に投資される金額は1,366億円となっています。これに対して、2009年のアメリカで、未上場のベンチャー企業に出資された資金は178,782百万ドル(1ドル90円換算で1.6兆円)です。年によってバラツキはありますが、それでもやはり、アメリカのベンチャー企業への投資は日本の10倍ほどあるわけです。
- イケてる企業から見れば、投資してもらえるお金は非常にありあまっているわけです。
- つまり、日本に不足しているものはベンチャーのための「お金」ではありません。そのお金を受け取る「イケてるベンチャー企業」のほうな訳です。
- 法人には「公私」を分ける機能がある
- 「会社一度作ったら、それは公の器すなわち『公器』として考えなくてはならない。たとえ自分が株式の100%を持っていたとしても、それは『公』」のものなのだ」
- 「アニマル・スピリッツ」と起業
- 起業段階の経営者としては、「この事業がいかに面白いか」「このサービスは世界を変えると思う」といった、「事業の面白さ」をトウトウと語るタイプが向いているのではないかと思います。
- 事業価値評価と法人化のタイミング
- それでは、この法人化のタイミングがいつがいいのでしょうか?結論から言いますと、増資を受ける半年くらい前に法人にしておいた方が、余裕があるスケジュールを組めると思います。
- 税務と法人化のタイミング
- 法人化をするのは、まだ赤字かほとんど利益の出ていない段階で、ベンチャーキャピタルなどの投資家と増資の交渉が始まっていないような段階が望ましいわけです。
- 「エンジェル」の性質と問題点
- 「最初」が非常に重要
- 日本では「本当は世界に通用するすごい事業のはずだったのに、このしょっぱなの資本政策の誤りで、その後の事業展開の芽が断たれた」と言ったケースは、表面化はしないけれど、物凄く多いのではないでしょうか。
- 初期段階で取り返しのつかないミスをする可能性の高い環境は、大袈裟に言えば、日本のイノベーションを減らし、潜在成長率を下げている可能性もあるのではないかと思います。
- 事業計画が何故必要か?
- 「もしここで、期待する程の需要が得られなかったらどうする?」「もしここで、ライバルが参入してきたらどうする?」といような話を、色々頭の中であれこれシュミレーションする時に、事業計画はその叩き台に成ると思います。
- 事業計画を作る事を通じて考えがまとまっていれば、説得力のある話をできる可能性が高まるということです。
- センスだけでは経営は続かない
- 創業期に「社長」になる人は、「技術や営業だけわかっていればOK」ではなくて、ある程度、「経営」や「数字」も分かっていないと長続きしない可能性が高いということです。
- 事業計画書の構成
- EXECUTIVE SUMMARY
- 会社の概要
- 外部環境
- 数値計画(損益や資金などの計画)
- 検討している資金調達の概要や資本政策
- 帳簿価格と企業価値評価(純資産法)
- 投資家はEXITから逆算する
- DCF法で見たように、「将来のビジネス規模」と「その実現の確実性」が鍵なのです。
- なぜストックオプションが重要なのか
- 資本政策の重要性
- 創業してこれから成長していこうというベンチャー企業にとって資本政策を考える事が重要なのは、資本政策の間違いは、初期の間違いほど、あとになってから修正が利かないからです。
- 外部の投資家の出資を受けるという事は、その投資家が参加する事によって(またはその資金が今手に入る事によって)企業価値が高まるかどうかも重要なのです。
- ベンチャーキャピタルがファンドの投資家から資金を集める際に、「Key man clause(キーマン条項)」といったものを定めて、特定のパートナーがファンドの運営からはずれることを禁止している場合があります。そういう場合に、そのパートナーが直接担当してくれているなら、その人が将来にわたってずっと担当してくれる可能性は高いと言えるでしょう。
- アメリカの事例を鵜呑みにしない
- 会社法上の種類株式
- ベンチャーにとって一番大切な事
- ベンチャー企業とは、誰も分からない未来にチャレンジする企業のことです。そして、そのベンチャー企業が生まれるために最も大切であり、かつ、日本に一番不足している希少資源は、技術力でも、お金でもなく、「アニマル・スピリッツ」と、それを持ち合わせている「人」であるということを、繰り返し述べさせて頂きました。
- 「日本のベンチャー投資のGDP比が他の世界各国と比較して非常に小さい」というのは事実ですが、現在、規制等によって、ベンチャー企業に資金が流れない構造になっているわけではありあません。必要なのは「水道管」ではなく、水を欲しがる需要、すなわち「ベンチャーをやってみようという(イケてる)ヤツら」の方なのです。