顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか

顧客が熱狂するネット靴店　ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか

ザッポスという会社をご存知だろうか。2009年11月にアマゾン・ドットコムが同社史上最大の買収額で買収した、靴を中心としたアパレル関連の通販サイトである。日本ではあまり馴染みが無く、自分も友達から教えてもらうまでは、その存在を知らないでいた。しかしこの本を読んでみて、思った。これは熱い、と。読んで熱くなれる本といえばfacebook、投資銀行残酷日記、ハゲタカなどががお馴染みだが、このザッポス伝説には、それ以上のエネルギーを強く感じた。挫折と成功を経験し、崖っぷちの状態から起死回生の一撃を繰り出すその姿は、正に起業家の等身大の姿であり、起業を夢見ずにはいられなくなる、至高の一冊である。

Contents

• 商売に対する感覚
• 魅力的な給料をとるのか。もしくは情熱を追い求めるのか。
• ザッポスに対する想い（トニー・シェイ）
• 偉大な企業とは
• ザッポスのコア・バリュー

商売に対する感覚

成功する人を天才型と秀才型に分けるとしたら、ザッポスCEOであるトニー・シェイは、間違いなく天才型である。その理由には、小さい頃からのエピソードがある。彼は間違いなくビジネスを産み出すセンスを持った人間である。小さい頃からビジネスプランを実行しているわけだが、その例をいくつか挙げてみる。

• 小学校時代　ミミズ繁殖事業・ガレージセール・レモネード販売・バッジ製造
• 中学校時代　ニュースレター販売、広告販売　
• 高校生時代　手品グッズ販売
• ハーバード時代　バーチャル勉強会、グリル運営

ざっと挙げただけでこれだげある。もっと細かく見ていけば、それこそさらに多くのビジネスプランを考え、実行している。普通の人間であれば、これだけ多くのビジネスプランを考え、かつ実行することはできないだろう。考える人はいるかもしれないが、それを実行に移せる行動力を持ち合わせているひとは１００人に一人もいないかもしれない。普通の人間が持ち合わせていないアイデアと行動力という面で、トニー・シェイのビジネスの対する感覚が、人並みはずれた物である事が分かる。そして、その才能をフル活用し、ハーバードを卒業した後、ザッポスへの道を歩いていくのだ。

魅力的な給料をとるのか。もしくは情熱を追い求めるのか。

大学を卒業しSEとしてオラクルへ入社したトニー・シェイであったが、そこでの仕事は、給料こそ他の卒業生の中でもトップクラスではあったが、仕事は面白いと感じるものではなかった。そして入社後間もなく、彼は会社を辞め、ベンチャーを立ち上げるという選択肢を選ぶことになる。それは、魅力的な給料の代わりに、自分の情熱を追い求めるという決断であった。

それでも、私たちは自らの事業を営み、自分の運命をコントロールしたかったのです。大事なのはお金ではなく、退屈しない事だったのです。（p.71）

その当時はわかっていませんでしたが、これが私の人生のターニング・ポイントでした。私は金銭を追い求めるのをやめ、情熱を追い求めることにしたのです。（p.99）

ザッポスに対する想い（トニー・シェイ）

立ち上げたリンクエクスチェンジを売却して得た資金を元手に、トニー・シェイはベンチャーキャピタルを起こす。そこでトニーはザッポスと出会い、その可能性に目を付け、オーナーとなる。しかし、ITバブルの煽りを受けたザッポスは、奇しくも資金危機に陥ってしまう。トニーは私名義で残っているほぼ全てを直ちに売り払って現金化し、ザッポスにつぎ込むという決断をする。彼は、自分の私財産までも投げ売るほど打ち込めるほど、ザッポスの経営に打ち込んでいた。

偉大な企業とは

ザッポスの資金繰りに苦労するなか、起業の目的について考えるようになる。ヒントになったのは「ビジョナリーカンパニー２　飛躍の法則」

ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則

偉大な企業は、金儲けを超えて、大きなビジョンを持っている。自分たちは今短期的な資金繰りのために商売をしているが、将来的にはお金儲けを超えた価値を産み出していきたいと考えるようになる。そしてそれが、ザッポスの奇跡の経営戦略を産み出す「最高のカスタマーサービス」につながっていく。

ザッポスのコア・バリュー

ザッポスは最高のカスタマーサービスを提供する…。そのために、トニー・シェイは常に企業文化を向上させる方法を追い求めるようになった。完成したコア・バリューによって、ザッポスは世界でも注目を集める企業文化を持つ会社となったのである。

1. サービスを通して「ワオ！」という驚きの体験を届ける
2. 変化を受け入れ、変化を推進する
3. 楽しさとちょっと変なものを想像する
4. 冒険好きで、創造的で、オープン・マインドであれ
5. 成長と学びを追求する
6. コミュニケーションにより、オープンで誠実な人間関係を築く
7. ポジティブなチームとファミリー精神を築く
8. より少ないものからより多くの成果を
9. 情熱と強い意志を持て
10. 謙虚であれ

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