人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (上)
人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (上) (NHKブックス)
- 作者: スティーブン・ピンカー,山下篤子
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2004/08/31
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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読書メモ
問題提起
- 心は空白の石版か。
- 人の本性は遺伝か環境の二項対立か。
- 人間の本性についての考察について。
- 人間本性に対するタブーと、そのタブーに対する挑戦するのは本当に危険なのか。
- 「ブランク・スレート(空白の石版)」=人間の心は白紙で、社会や自身が思いのまま書き込める=人間本性論
ブランク・スレート説とともに語られる二つの教義
- 高貴な野蛮人=白紙状態の人間は無私・無欲・温和な心安らかな存在であり、貪欲さや不安・暴力は文明の産物。
- 機械の中の幽霊=精神と身体は分離しており、行動は精神によって自由に選ばれる。
ブランクスレート説
- ブランク・スレートの教義は、一度知識社会の中に定着した。
- 社会的事実の決定原因は、それに先行する社会的事実に求められるべきであり、個人意識の状態に求められるべきではない<エミール・デュルケーム>
- 本性は慣習を作り出さない。慣習が本能を作り出す。人間の本能と想定されているものは、つねに学習されたものであり、生まれつきの物ではないからだ<エルスワース・ファリス>
→しかし四つの知のフロンティア(心・脳・遺伝子・および進化の科学)がブランク・スレートを埋め、高貴な野蛮人をその地位からおろし、機械の中の幽霊を追い払った。
ゆらぐ公式理論
- 霊長類学者は、人類に固有と考えられていた多数の複雑な能力(概念・空間感覚・道具の使用・嫉妬・親としての愛情・互恵的関係・仲裁・性差、等)を他の動物も持っている事を発見した。
→心はもはや、文化によってつくられる、無定形の塊ではない。
文化と遺伝子の関係
- 文化は人々の発見によって蓄積されていく。
- したがって様々な異なる文化は遺伝子の種類の違いによるものではない。
- 不定形の心に形を刻印するわけでもない。
複雑な人間本性が存在する可能性を疑わせる科学的成果(ブランクスレートの抵抗)
- ヒトゲノム・プロジェクト
- ニューラルネットワークのコンピュータモデル
- 神経可塑性
→最新の科学を使った砦。しかし実体のない思い違いであり、複雑な人間本性は存在する。
政治的要請
- 政治的にブランクスレートが支持される。それらは道徳的要請からでてきたものである。
人間の本性とどう対峙するか
- 人間本性がこれからさらに説明されていくに伴い、その知識をどうやって扱っていくか。