小説 東のエデン

小説 東のエデン (ダ・ヴィンチブックス)

小説 東のエデン (ダ・ヴィンチブックス)


今年の始め頃だっただろうか、テレビ東京のWBSでセカイカメラの特集が組まれた時から気になっていた作品。そこでセカイカメラに興味を抱きネットを見ていたら、この「東のエデン」と「電脳コイル」というアニメが、セカイカメラの拡張現実という概念に非常に近いテーマを扱っている作品だと知った。なかなかその二つを見る機会が無いまま、結局セカイカメラがリリースされてしまったのだが、先日本屋に行ったらこの「小説 東のエデン」が平積みで置かれていたので、遂に購入。
そもそも僕は、東のエデンの原作はライトノベルか何かだと思っていたのだけれど、ウィキってみたところ

東のエデン』(ひがしのエデン、英題 Eden of The East)(は、2009年4月より同年6月までフジテレビ『ノイタミナ』枠で放送された日本のテレビアニメ。監督は神山健治、キャラクター原案は羽海野チカ、アニメーション制作はProduction I.G。第14回アニメーション神戸賞作品賞・テレビ部門受賞作品。―Wikipedia

ということで、どうやら原作はアニメであるらしい。原作からの派生でこの小説版が発売され、さらに11月から映画版も公開。こちらは2部作で、テレビ放送版のその後という扱いになっているらしい。

感想 ※ねたばれ注意


さて、小説版を読んでみたのだが、ストーリーはなかなか面白かった。というかかなり面白かったと思う。こういった「現在リアルタイムの日本・世界を舞台に、絶対に起こりえない厨二病的法則やシステム・道具・法律等に突然巻き込まれた少年少女の物語」系の作品は大体好きだ。漫画ならデスノートだとか国民クイズ最終兵器彼女、小説ならバトルロワイアルリアル鬼ごっこ、ドラマなら今放映中のライアーゲームや、ちょっと古いけど未満都市とか。そんな中でもこの東のエデンは今のIT技術の進化を作品の中に取り入れており、その系統の作品の最新作として、出て来るべき時に出てきたな、という感想を抱いた。また冒頭でセカイカメラの話を書いたが、それが作品中のエデンシステムだ。

<画像検索エンジン>は、携帯カメラで写した画像から、一致する画像をネット検索する。検索ボックスに文字を入力する必要はない。カメラに移った場所や人物や物体の名前を、瞬時に検索できるのだ。
<レイヤー>は、画像に自分の書き込みを貼り付けることのできる機能だ。学生時代に通った定食屋の画像に<懐かしの味><回鍋肉定食がおすすめ>などの<レイヤー>から、<ゴキブリが入っていた><ご飯が臭い>などの悪評まで、何でも書き込んでいくことができる。


空間にエアタグを貼り付けるという機能を持つセカイカメラにとてもよく似ている。セカイカメラの解説でも拡張現実という言葉が使われるが、本書ではこんなフレーズもある。

『今ある世界に新しい価値観を被せて、全く別の世界をみることができる』


拡張現実を表現するとしたらまさにこんな感じになるのではないだろうか。


ストーリー自体はとても僕好みで楽しめたのだが、小説としての評価は普通。まあアニメ原作の小説は大体こんな感じになる気がする。それよりも、やはりアニメ版を見てみたいという強い衝動に駆られた。映画版もその後のストーリーが描かれるということで、今週末にでも見に行けたら行きたいな。




関連リンク
http://d.hatena.ne.jp/feelingsspread/20090519/1242662389
http://d.hatena.ne.jp/mame-tanuki/20090515/higeshino_eden_and_SekaiCamera
http://d.hatena.ne.jp/cnaos/20090515
http://hekke360.blog.so-net.ne.jp/2009-05-15