働き方革命―あなたが今日から日本を変える方法

作者:駒崎弘樹
出版社:筑摩書房
発売日:2009/5/10

働き方革命―あなたが今日から日本を変える方法 (ちくま新書)

働き方革命―あなたが今日から日本を変える方法 (ちくま新書)

働きすぎな傾向がある日本人。その習性を変えるためには、僕たちサラリーマンが、働くということに対する意識を変えていかなければいけない。日本では長時間労働を美徳とする風習があるのだけれど、それに引きずれていたら、いつまで経っても働き方を変えることはできない。最終的には働きすぎで日本が病んでしまうよ、という話。
最近は仕事に対してこういった論調が増えているので、既視感はある。流れとしては、昔みたいにとにかく働いて働いてという感覚ではなくて、仕事をきっちり定時で終わらせてプライベートを充実させる。そうすることによって、仕事に対するモチベーションも上がり、結果として働き詰めだった時よりも効率がアップして、仕事も充実するという好循環を目指す、という流れだ。
僕はと言えば、この主張には大賛成だ。基本的な考え方には否定の余地が無いと思っている。しかし実際にこのような働き方をするのはたぶん難しくて、先輩よりも先に帰るとは何事かといった人間関係的な問題が出てくる。それはおそらく、定時で帰るという働き方は新しい考え方であるとともに、それを受け入れることが出来るのが、それまでずっと先輩よりも遅くまで働いてきた中高年世代ではなく、比較的若い世代であるからだろう。だからこそ、企業で働いている人達それぞれが、このような意識を持つことでしか、この問題は解決しないのだと思う。

フレーズ

多忙な事から社内コミュニケーションが減り、不機嫌になり、表情を失い、ネットワークもなくなっていったけれど、それでも仕事は回っていた。むしろスピードは上がっていた。ウイルスは確実に僕の行動を変え、それによって周囲も影響を受けていたけれど、それはまぁ、そんなものなのだ、と僕は信じたのだった。


これが所謂今までの働き方で、多忙を理由に仕事以外のことができなくなってしまうパターンだ。

僕だってITベンチャーに負けず劣らず忙しいし、夜も遅い。寝るギリギリまで仕事をしている。そんな自分が、果たして結婚して家事や食事を全て妻に押し付けずに、生活できるのだろうか。子供が生まれて、子供の面倒を見られるのだろうか。妻の可能性を奪わずにいられるのだろうか。


自分の忙しさにかまけて妻に家事や食事の支度といった"仕事"を押し付けてしまうことは、妻の可能性を奪うことになる。

自分は6時に帰れている。しかし達成感は無い。あまりに簡単すぎて、驚く。そして次の瞬間に襲ってくる嫌な感情の波があった。「自分は今まで何をしていたんだ?」今まで一生懸命働いていたが、ひょっとしたら「自分のやるべき事を把握し、それに沿って仕事を組み立てる」ということから、逃げていただけなんじゃないか。


ここのところが結構本質を示唆していると思う。働くということはある種無限の広がりがあって(90を100にすることができないように)、そのことを考えながらいかに働くか、ということが重要。

経営者にとって、いや経営者だけではないだろうが、「知る」(=「学ぶ」)ということはビジネスにおけるセーフティネットのようなもので、確実に成功確率を高めてくれ、失敗の際のダメージをやわらげてくれる投資のようなものだ。その投資をする時間がようやく取れていったのであった。


実際の仕事にばかり時間をかけていると「学ぶ」時間が失われ、いつまで経っても効率が上がらないし、成功確立も一定なままだ。自分に時間を投資することによって、そうした状態を抜け出すことができる。

働くことを狭く限定せず、僕達があるべき人生の姿を形作る作業全体を「働く」と定義すれば。


ある意味正しいと思う。哲学的な話になりそうだから深く言及しないけれど、働くという言葉の意味をもう一度よく考える。