成功者の告白 5年間の企業ノウハウを3時間で学べる物語

作者:神田昌典
出版社:講談社
発売日:2004/1/26

成功者の告白 5年間の起業ノウハウを3時間で学べる物語

成功者の告白 5年間の起業ノウハウを3時間で学べる物語

神田昌典さんの本を読んだのは非常識な成功法則以来2冊目。
ビジネス本関連全体の特徴として、名著であればあるほど内容の中核が似てきて既視感を覚えるということがある。しかし神田さんの本は、一見すると他の本と同じことを言っているような感覚を覚えるのだが、やはりどこか普通の本の逆を行っているような気がする。その独特さが際立つし、この本でしか学べない新しい発見がたくさん詰まっている。こういうものは、自分の頭の中の知識体系に新たな知識を追加してくれるようで楽しい。本を読むと言うことは新しい知識を獲得していくことだな。

内容と感想

根底に流れるテーマは、ビジネスと家庭とのバランスを取りながら、いかに会社をスムーズに成長させるか、ということである。

この本の本旨。
成功者の告白と聴くと、あたかも成功のためのビジネスプロセスを教えてくれるような気がしてしまうが、それは少し違う。問題としているのは、仕事と家庭のバランスの取り方である。

「タイミングだよ。ビジネスで成功するためには、第一にタイミング、第二にタイミング、第三にタイミングだ。つまり、いつ市場に参入するかが鍵なんだ。(略)」

本論と直接関係がある訳ではないが、新しい視点だったのでメモ。
発見というよりは、再認識と言った方が良いかもしれない。

毎日が給料日だった。サラリーマンのときに一年かかってやっと溜められた金額が、毎週振りこまれるようになった。預金通帳を記帳しに行くたびに感激した。記帳の際に残高をタイプする印字の音が、美しい調べのように聞こえる。

収入という視点で考えると、やはり経営者は魅力的だ。かと言って独立して経営者になりたいと言うわけでもない。自分の最終目標というのはやはりまだ明確じゃないのかも。

「タク、仕事のために、家庭があるんじゃないぞ。家庭が幸せになるために、仕事があるんだ。履き違えるんじゃない」

この辺が、やはり考え方が独特で、すごいなと思った。仕事というのはある意味で手段でさえあるからな。仕事の捉え方というのは本当に難しい。

「……経営者にとって創業期の会社は赤ん坊のようなものだ。その赤ん坊を放り出して楽に儲けようと言うのは、現実的には無理な話。24時間、真剣に関わらなければならない。だからこそ、妻がそういう状況を分かった上で耐えてくれるか。夫が妻のサポートを心から感謝し、ねぎらうことができるか。そしてビジネスを出来るだけ速く軌道に乗せ、軌道に乗ったら仕事中毒になる前に、家庭とのバランスをとることが必要となる。」

妻(家庭)との関係が重要。

「この怒りを電話受付の担当者は受ける訳だけど、怒りと言うのは行動によってしか解消されない。(中略)すると、その怒りを社員は会社で出すことができずに、家庭に持ち帰るわけだ。」

怒りとかストレスを家庭に持ち帰ると、必ず家庭がダメージを受ける。仕事と家庭との線引きをうまくすることが大事。しかし、逆に相乗効果を生み出せるように、敢えて線引きしないという選択肢もありだと思うけどな。

「それが会社の真実だよ。会社とは、そこに集う一人ひとりが、本来の自分を発見する場所だ。その過程は、楽しいことばかりじゃない。どちらかと言えば挫折が多いだろう。でも挫折を乗り越えて、初めて自分自身の輝く部分に出会える。(略)」

これだけ経営と過程は密接な関連性を持っている。でも多くの人は、ビジネスの面だけ見るだろう。成功した人をもてはやし、成功の光の部分しか語らない。その光の部分だけが人に語られ、そのカゲについては口を閉ざす。成功によって、どのように過程が歪むのか。組織に亀裂が入るのか。その関連性については、誰も語らない。語りたくない。

最後のまとめ。結局、経営者の成功の裏には影があり、その影というのは、仕事によってもたらされた家庭の歪みである。これは経営者に限ったことではない。仕事をする人全てに言える事である。


眠くて最後の方が恐ろしいほど駄文になってしまった。
仕事と家庭の関連性については再認識。いつか家庭を持つときまで取っておく。