メイキング・オブ・ピクサー 創造力をつくった人々
作者:デイヴィット・A・プライス
出版社:早川書房
発売日:2009/3/20
- 作者: デイヴィッド A.プライス,櫻井祐子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/03/20
- メディア: 単行本
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という感じで、今日からしばらく提案演習を行います。やっているのはクライアント企業の課題を発見・分析して総合的な提案を行うというもの。IRを見たり財務分析をしたり業界動向・法規制を調べたり…。システム会社にいるとは思えない程コンサルチックなことをやっていて楽しいです。
戦略系のコンサルも最終的な落とし所はITだと聞いて、意外とその方面にも親和性があるのかなと思ったり。
実際の職場でここまでやるとは思えないけれど、こういう能力が求められているというのは素直に嬉しく感じる。あまりに面白いので仕事がプライベートの時間を侵食してしまいそうです。
閑話休題。
先にレミーのおいしいレストランを観た感想を書いてしまったのだが、そもそものきっかけはこの本。クリエイティブな世界にもしっかりと体半分入れておかないと魅力的な人間にはなれないなとつくづく思った。
内容がとにかく濃くて、ピクサーの30年間が異常なまでに取材してある。ページ数自体は400ページ程なのだが、エッセイのような感じでずっと進んでいくので、読むのにも少し時間がかかった。
しかし、ディズニーの元を離れ、ルーカスフィルムに見限られ、ジョブズ(そもそもスティーブ・ジョブズやジョージ・ルーカスがピクサーに関わっていたことを僕は全く知らなかった)にも売却を検討されたピクサーが、最終的にどのような過程を経て世界一のアニメーションスタジオになったのかという事細かに記述は、非常に胸を躍らせるものだった。
ピクサーと聞くと、世界一のアニメーションスタジオで凄腕のクリエイター達が日々楽しそうなアイデアを出し合っているというイメージだったが、それは30年もの間CGの映画という可能性を信じてひたすら努力してきた人々の成果なのだ。そしてその努力が実を結んだのが『トイ・ストーリー』であり、ピクサーの成功はそこから始まったのだ。
フレーズ
- 「俺達はオタクの結社だっていう雰囲気が、びんびん漂ってた」
- その質問は何かとグッゲンハイムは尋ねた。「宇宙船を画面一杯に飛び回らせることは出来るかい?」グッゲンハイムは胸をなで下ろした。「そんなことなら毎日やってますよ」
- ルーカスは普通の映画ファンとは違って、カメラの動きや、映画監督が下したカメラに関するあらゆる決定に細心の注意を払っていることを、スミスは知っていた。
- 「かれが口を開けば、誰もが心を奪われる。ジョブズが話し始めると、社員の判断力がみるみるどこかに消し飛んでしまうのが、傍目にも分かった。ただぼーっと座って、愛としか言いようの無いものを目に浮かべながら、かれを見つめているのさ」
- キャットムルは言った。「でもジョンには、ここでやっていたことの重要性がわかっていた。こんな事を言っていたからね。"ディズニーに行って監督になるか、ここにとどまって歴史を作るかだ"」
- 「予算はそのうち少しずつ増えて行ったが、残念ながらそんなに高い給料は払えなかった。だからそれ以外の職場環境の改善に努めた。ものすごいプロジェクトに取り組めるってだけで、アーチストやアニメーターを呼び込めるものだ」
- だがラセターは『モンスターズ・インク』の製作中と、『ファインディング・ニモ』の製作に入って間もない2000年春の二度にわたって、ピクサーの成功の金型を惜しげもなく捨て去った。(中略)人間、いや超人のキャラクターだけを使うという、ストーリーの構想を受け入れたのだ。
- ロイの頭の中では、「オズの魔法使い」の東の悪い魔女が、アイズナーの象徴になっていた。「悪い魔女が死んだら、また一緒になろう」ロイはジョブズに言った。
- アイガーの懸念はそれだけではなかった。ディズニーの市場調査が、気がかりな傾向を示していた。12歳以下の子供を持つ母親達は、いまやディズニーよりもピクサーのブランドを高く評価していたのだ。
たまにはこういう本もいい。脳の普段刺激されていないところが刺激されている気がする。ウォーリーもすごい面白可愛かった。
とりあえず明日も提案演習。企業分析しなければ。