プロフェッショナル原論

作者:波頭亮
出版社:筑摩書房
発売日:2006/11/10
評価:★★★★★

プロフェッショナル原論 (ちくま新書)

プロフェッショナル原論 (ちくま新書)

またアツイ本に出会ってしまった。


プロフェッショナルと聞いてどんなことを想像するだろうか。頭に"その道の"という言葉を付けると想像し易い。僕が思うに、プロフェッショナルとは、ある分野における能力を極限まで高め、その能力を駆使して責務を遂行する者と言える。そしてその能力には並ぶものは無く、一つとして同じものは無い。まさにNO.1でありONLY.1なのである。
本書ではプロフェッショナルをこのように定義している。

プロフェッショナルとは、一言で表すならば、「高度な知識と技術によってクライアントの以来事項を適えるインディペンデントな職業」と定義することができる。


これ以上にプロフェッショナルという概念を美しく表すことが出来るだろうか。まさにこれがプロフェッショナルというものだろう。本書ではこの定義を前提として、プロフェッショナルの掟、ルール、組織、日常を解説する。

プロフェッショナル・コード


プロフェッショナル・コードとは、プロフェッショナルとしてどういう行動を取らなければならないのかという規範や行動原則に関するものと、どういう仕事に価値がありどういう成果を目指さなければならないかという価値基準に関するものとからなる。以下にその基準を示す。

  1. クライアント・インタレスト・ファースト <全てはクライアントのために>
  2. アウト・プット・オリエンティド <結果が全て>
  3. クオリティ・コンシャス <本気で最高を目指す>
  4. ヴァリュー・ベース <コストは問わない>
  5. センス・オブ・オーナーシップ <全て決め、全てやり、全て負う>


アツイ。どれも超重要事項なのだが、特に3番目。"本気"で、最高を目指す。

自分が取り組む仕事に関して、本気で日本一とか世界最高の水準を目指すことが出来るかどうかが、一流のプロフェッショナルになれるかどうかの大きな境目かもしれない。

僕もやるからには世界一を目指して仕事がしたい。環境は、あんまり関係ないような気もするし、気にするつもりもない。自分がプロフェッショナルとして仕事をして、最高の結果が出せれば、それより面白いことなんてない。案外、僕がずっと考えている"面白いこと"は、仕事の中にあるのかもしれない。それならそれで構わないし、全てをやるだけのような気もする。

行動特性


プロフェッショナルはどういう考えで、どういう行動をしているのだろうか。努力・行動力・冷静・情熱・向上心・論理的・自尊心……。プロフェッショナルの行動特性とは一体どんなものなのか、ここで4つ紹介する。

  1. 行動的 <プロアクティヴ>
  2. 意欲的 <チャレンジング>
  3. 個人主義的 <インディペンデント>
  4. 論理的 <ロジカル>


せっかくだから自分をこの基準で計ってみる。
あくまで自己評価という事で。結果はこんな感じ。

  1. 行動的 ★☆☆☆☆
  2. 意欲的 ★★★☆☆
  3. 個人主義的★★★★★
  4. 論理的★★★★☆


うーん、個人主義的で論理的…。こんなやつがいたら友達になりたくないな。
あとは意欲はまあまあ、行動力が皆無。
最近朝一人で映画を見に行ったり、日光の一人旅計画を立てたり、やたらとアクティブに動こうと意識しているのは、欠けている行動力を補おうとしているのかもしれない。全体的に高めに評価しているのは、きっと僕は意味も無く自信家だからだ。1年間でこの星を増やしていきたい。

一流のプロフェッショナル

プロフェッショナルは冷静でロジカルであり、人と群れることなく、高い目標を自らに設定して強靭な意志力でやり抜くことの出来る人間である。(中略)このように高い能力を持ちながらも真っ当な人格や人となりを有しているからこそ、その結果としてディグニティー(威厳)を身に纏った存在感が醸し出されるようになるのであろう。(中略)こうした存在感と迫力こそが一流のプロフェッショナルらしさであり、プロフェッショナルが目指す理想の姿なのである。
(P.152)


最終的にプロフェッショナルを目指そうとした時、その姿はこの部分に集約される。ここは本書を手に取ることがあったら是非読んでもらいたいところ。プロフェッショナルの中でもさらに一流のプロフェッショナルとは何なのか。目指すべきは当然最高基準である。ここさえ頭に入れておけば、背伸びしてたら背が伸びる要領で、一流のプロフェッショナルに近づけるかもしれない。