レバレッジ勉強法

作者:本田直之
出版社:大和書房
発売日:2007/10/5
評価:★★

レバレッジ勉強法

レバレッジ勉強法

本田さんのレバレッジ・シリーズを初めて読んだ。
このシリーズはとても有名だ。
今も書店に行けば「レバレッジ〜」という本を何冊も見つけることができる。
そして僕はノウハウ本が好きで、過去にもこんな書評も書いた。
読書は1冊のノートにまとめなさい - THINK CIRCUIT読書は1冊のノートにまとめなさい
マインドマップ営業術 - THINK CIRCUITマインドマップ営業術
全ての情報は1冊の手帳にまとめなさい - THINK CIRCUIT全ての情報は1冊の手帳にまとめなさい
ただ最近少し食傷気味であまりこの手の本を読んでいなかったのだが、研修で資格の勉強をしているということもあって、久しぶりに手にとってみた。

勉強法というモノについて


勉強法の本というのは、何冊か読んでいるとどの人も似たようなことを言っていることに気が付く。
よく言われているのが

  • 効率良くやる
  • 仕組み化する
  • アウトプットを重視する
  • 五感を使う

などではないだろうか。
勉強法というものを突き詰めていくとみんな同じ所に辿り着くようで、僕もこういった方法が一番効率が良いと思っている。
それならもう勉強法の本を読む必要無いんじゃ?と思われるかもしれないが、そこがまた面白いところで、やはり著者によってオリジナルの方法論というものが必ず存在するのだ。
僕はそういった著者独自の方法論を見つけるのが面白くて、定期的に勉強法の本を読むことにしている(完全に趣味な部分もあるけど)。


そういえばいつだったか「勉強法ブーム」とかいうのが蔓延していた時期があった(去年??)。
今はどうだろう。一時期に比べて収まっただろうか。
僕としてはあのまま勉強法ブームが定着して、同期なんかと勉強法について語ることができたらいいなーとか考えていたのだけど、どうもその段階までは至らなかったようだ。
ただ勉強法が一時的に流行ったことは間違いなく、不況な世の中でみんな会社に頼りきりにならずに、自分の社会的な価値を高める必要性にかられているのかなーとかいう妄想にふけっていた気がする。
ちなみに僕と勉強法の出会いは高校2年生くらいの頃だったと記憶している。
大学受験を控えてみんなが問題集を解いている中、なぜか僕は和田秀樹さんの新・受験技法―東大合格の極意とか柴田孝之さんの東京大学機械的合格法を読みふけっていた(ちなみに僕は東大に落ちて私立の大学に行った)。
そう考えてみると、僕はきっと完璧主義者か面倒臭がり屋のどっちかなんだろうな。
「絶対に東大合格するぞ!」という意気込みで「それならまず勉強法から学ぼう」と考えていたならば前者だし、「あんまり勉強したくないし、手っ取り早く合格できないかな」と考えていたなら後者だ。
うーん、まず完璧主義者系だろうな。A型だし。
完璧主義ってあんまりメリットないから嫌なんだけどなあ。こればっかりは性格だろうししょうがない。


話が逸れたが、僕は意外と勉強法とは結構縁が深かったということだ。


今回は本田さんのオリジナル部分を含め、面白いと感じた所をピックアップする。

内容

勉強は、将来、継続的なリターンを得るための最高の投資なのです。

勉強も、ROIを考慮することなく始めては、百害あって一利なしです。


勉強していると、つい本来の目標を見失ってしまいそうになる。
最近の例で言うと、僕はずっとITの技術系の資格の勉強をしているのだが、つい「今日はテキストの〜章を終わらせるぞ」などと意気込んでしまうことがある。
間違ってはいないのだが、視点がずれている。
目標はあくまで試験に合格することであって、テキストの内容を理解したり練習問題が解けるようになることはそのための手段に過ぎない(内容の理解はもちろん重要だが、その話はとりあえず置いておく)。
正確には「今日は試験問題が解けるようになるために〜章を勉強する」が正しい姿勢だ。
何が言いたいのかというと、社会人の勉強はリターンを得るために行わなくてはならないということだ。
ここで言うリターンとはもちろん試験に合格することだ。


個人的に何か勉強する場合にも、リターンを考えて勉強しなければならない。
英語が大事だと言われているから英語の勉強をするだとか、資格を持っていると色々と便利だからとりあえず何かとってみるか、というのは間違いなのである。
海外のサイトから最新の情報を手に入れるために英語を勉強するだとか、中途採用の必須条件に挙げられている資格だからこの資格をとるだとか、そういった目標を定めておかないといけない。
勉強することは自分の時間を投資することであり、常にその投資からリターンを得ることを考えるべきなのだ。

やる気が無くても作業を開始すると、脳の側座核という部分が興奮してやる気が出てくるそうです。「作業興奮」といい、この理論はやる気のメカニズムとして予備校やコーチングの世界でも取り入れられています。


作業興奮」という言葉があるということを初めて知った。
やる気が出なくてもとりあえず始めなさい、といった事はよく言われるが、脳のメカニズムという観点でもそれは正しい行動だったようだ。
だとすると問題は、いかにして勉強を始める段階までもっていくか、ということになる。
その問題に対する解は、こうなる。

無意識かつ楽に勉強を続けたかったら、「型にはめる」仕組みづくりが有効です。
1、スケジュールを決めて型にはめる。
2、ノルマ化して型にはめる。


つまり、生活の中に仕組みとして取り込んでしまえばいいという訳だ。
スケジュールとして入れてしまえば、あとはその予定に沿って行動するだけだ。
そして始めてしまえば作業興奮が起きる。問題解決だ。


最近は「仕組み化する」という言葉を本当に良く聞くようになった。
誰が言い出したのかわからないけど、初めてその仕組み化の概念に触れたのはおそらくドラゴン桜だと思う。
ただ言葉で目にしたのはたぶん勝間和代さんの無理なく続けられる 年収10倍アップ勉強法だ。
当時は物凄く新鮮に感じられたけど、最近はだいぶこの言葉が広まってきた気がする。
こんな本も出版されていたし。なんだか世の中仕組みだらけだ。

貯金は「天引き」がいちばん良いとされるように、勉強時間も天引きし、あらかじめ勉強時間を確保するようにしましょう。


僕の隠れた趣味は貯金なのだけど、天引き貯金は間違いなくお金が溜まる。多少無理して天引きしても、残ったお金でなんとか生活できてしまうのだ。
同じように、天引きすることによって勉強時間を確保することができる。
僕はこれを夜ではなく朝勉強するということで実行している。
新入社員の"朝"活用法 - THINK CIRCUIT新入社員の"朝"活用法
天引きの方法には色々あると思うが、仕事が終わらなくて勉強できなかった、なんてことを回避するためには僕はこの方法がベストだと思っている。

スキマ時間を勉強に当てることにしましょう。ちょっとした時間でも、かき集めれば膨大になるという「チリツモ効果」が期待できます。


「チリツモ効果」という言葉が嬉しい。
細切れの時間を集めて活用する事の重要性は十分理解しているのだが、こういうキャッチーな言葉を作ってくれると意識しやすくなる。
時間の有効活用という視点も結構前から流行っていて、

「1億人から3秒弱の時間を集める」ことで「一万人がフルタイムで一日働いて生み出すのと同等の価値を創出する」ような考え方……略
Web進化論 本当の大変化はこれから始まる P.37


なんていう記述もあった。
「チリツモ効果」は本当にいい。唱えながら生活しようか。


内容はやはり他の勉強法の本と重なってしまう部分はあるのだが、ポイントが凝縮されているのがすごく役に立つ。
手段が目的化してしまいそうになったら今一度ここに戻ってきたい。


そういえばスレイヤーズに、「手段のためには目的を選ばない」ていう名台詞があったような…
ていうかスレイヤーズってまだ連載してるのか。今知った。すげえ。