統計でウソをつく法 (ブルーバックス)

統計でウソをつく法―数式を使わない統計学入門 (ブルーバックス)

統計でウソをつく法―数式を使わない統計学入門 (ブルーバックス)

仕事をしていても、本を読んでいても、テレビを見ていても、資料の中に統計数字が出てこない日はありません。統計は、自分の主張したい事を人に伝える時に優れた武器になります。言葉や文章でも人に主張を伝える事はできますが、統計表やグラフを使う事によって、その主張のインパクトを何倍にもすること可能です。しかし、時として統計は真実を隠し、自分の都合の良い解釈を与える道具として使われるこもあります。この本では、自分が操作された統計数字に騙されないために、様々な具体例と共に統計の変化の仕方を教えてくれます。

読書メモ

  • サンプリングの調査結果がもとになるサンプルより正しくないことも事実であるが、データが何回も統計的操作で濾過され、平均値に姿を変える頃には、もとのデータとは似ても似つかないものとなる。
  • かたよりの原因を明確にできなくても、どこかにどの可能性があるかぎり、えられた結果はある程度疑わしいと考えた方が良い。その可能性は必ずある。
  • 世論調査はかたよりに対する不断の戦いを続けているが、この戦いには絶対に勝つ事はできない。
  • ある数字が平均値であると聞いても、それが算術平均、中央値、最頻値のうちどれかわからないと意味が無い。
    • 算術平均(平均値):全ての値の合計をその値の数で割ることで得られる。
    • 中央値(中位数):有限個のデータを小さい順に並べたとき中央に位置する値。
    • 最頻値(並み数):データの中で一番良く出てくる数字。
  • 統計結果が真の結果を表している程度がどのくらいかを計る指標が有意度であり、たいていの場合は5%の有意水準で十分である。
  • その時のサンプルが全体をどれだけ正確に代表しているかということは、確率誤差、あるいは標準誤差で表す事ができる。
  • IQやサンプリングでえられた数字はデータの分布幅(範囲)の中で考えなければならない。標準というのは100ではなく、例えば90〜100までの範囲なのである。
  • グラフのデータを変えずに表現方法を変えることで、相手を説得し、見る人をびっくりさせ、実際に行動に駆り立て、何かを売りつけるということが可能になる。
  • 加工したグラフは数字も曲線も変わらない。グラフから受ける印象を除けば。
  • 絵グラフあるいはピクトグラフ(pictograph)の主役は棒グラフである。棒グラフがよく見られるのは地理の本や企業報告書やニュース雑誌である。そのアイ・アピールが効果を発揮するのも、こうした出版物においてなのである。
  • もし、証明したいと思うことが証明できなくても、何かほかのことを論証して、両方とも同じことなのだと見せかければ良い。こじつけの数字は確実に役に立つ。
  • 統計の因果関係。統計を読む時には前後の因果関係についての誤謬を犯さないように、事実でない多くのことを事実と信じ込まないように、相関関係の説明を読むにはかなり気をつけて読む事が必要である。
  • 統計データを歪曲し、操作するのは、必ずしも統計の専門家ではない。
    • セールスはPR専門家やジャーナリストやコピーライターなどの手にかかってゆがめられる。
  • 新聞、雑誌、書籍、広告に出てくる事実や数字はそれを認める前に、もう一度検討してみる必要がある。
  • 統計のウソを見破る5つの鍵
    1. 誰がそういっているのか?(統計の出所に注意)
    2. どういう方法でわかったのか?(調査方法に注意)
    3. 足りないデータはないか?(隠されている資料に注意)
    4. いっていることが違ってやしないか?(問題のすり替えに注意)
    5. 意味があるかしら?(どこかおかしくないか?)