フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略

フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略

フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略

フリーのパラドックス
  • Googleアメリカで最も儲かっている企業のひとつ。
  • リナックスの生態系は300億ドル産業。
  • 無料のワイヤレスアクセスを提供するコーヒーショップでは3ドルのラテが飛ぶように売れている。
  • 料金を取らない事により大金を稼ぐ。
  • あるものをタダであげることで、別の物の需要を作り出す。
フリーのビジネスモデル
  1. 直接的内部相互補助 消費者の気を引いて、他の物も買ってみようと思わせる商品ならなんでも(ex.DVDを1枚買えば、2枚目はタダ)
  2. 三者間市場 コンテンツ、サービス、ソフトウェアなど(ex.広告)
  3. フリーミアム 有料のプレミアム版に対する基本版(ex.香水、Flicker
  4. 非貨幣市場 対価を期待せずに、人々があげるものすべて(ex.Wikipedia
フリーの心理学
  • <無料>を質の低下だと考える時と考えない時がある。
  • それまでお金を払っていた物が無料になると、私たちは質が落ちたと考えやすい。
  • しかし、最初から無料だったものは、質が悪いとは思わない。
  • 無料に対する感情は絶対的な物ではなく、相対的なものである。
お金の方程式
  • お金を払わないために時間をかける事は、「最低賃金以下で働いている事」を意味する。
ムーアの法則
  • 物質からではなく、アイデアからつくられるものが多くなれば、それだけ速くものは安くなっていく。
  • これがデジタル世界のフリーに繋がる潤沢さのルーツ。
Google型モデル
  • Googleは一握りのコアプロダクトからの広告料から大金を稼いでいる。
  • そのほとんどは検索結果の表示画面や、提携したウェブサイト上に広告を載せる事によるものだ。
  • それで他のすべてをフリーにできるのだ。
  • 現在のGoogleは、世界中に36かそれ以上あるデータセンタに推定で約50万台のサーバを展開している。
  • データセンターは主として電気料金の安い、アメリカ大西洋岸北西部の水力発電所のそばなどにある。
  • 他の企業のデータコストも安いが、Googleは規模の経済によってもっともっと安くなり、さらにはコストが低下するスピードも早いのだ。
  • Googleが情報を無料にしたがるのは、情報コストが下がれば、より多くのお金が稼げるからだ。
有料コンテンツの終焉
  1. 供給と需要 供給は増えたが需要は増えていない。
  2. 物質的形状の消滅 コンテンツはディスクから回線を流れるファイルへ。
  3. 入手し易さ 店で探してくよりダウンロードした方が簡単(探索コストの現象)
  4. 広告収入で運営するコンテンツへの移行 オンラインでコンテンツが無料ならば、オフラインでも無料であるべきじゃないか?
  5. コンピュータ業界はコンテンツを無料にしたがっている 無料コンテンツは、それを再生する機器の価値を高める(iPod
  6. フリー世代 ブロードバンドと友に成長した世代。「ほぼゼロの限界費用
  • 広告とフリーミアムをあわせると、アメリカだけで楽に800億ドルの収入がある。
  • 従来からある広告収入で運営されるメディアを加えると、1160億〜1500億ドルになる。
  • 世界ではアメリカの3倍は軽く見込めるので、少なくとも3000億ドルになる。

食住をはじめとするマズローの言う物質的欲求を、朝から晩まで畑で働かなくても得られる世界では、コンピュータで言う「スペアサイクル」(コンピュータが何もしていない時間)、あるいは社会学者の言う「思考の余剰」を私たちは見出す。仕事だけでは活かしきれないエネルギーや知識の事だ。同時に私たちには、仕事では満たしきれない精神面や知識面の欲求もある。私たちは自分が重要だと思う領域で無償労働をすることによって、尊敬や注目や表現の機会や観客を得る事ができるのだ。(p.251 第12章 非貨幣経済