やればできる―まわりの人と夢をかなえあう4つの力

やればできる―まわりの人と夢をかなえあう4つの力

やればできる―まわりの人と夢をかなえあう4つの力


勝間本。今年は何冊か勝間本を読んだ。
結論から言わせ頂くと、今までの彼女の著作の方が僕は好きだ。
新しいエッセンスが皆無という訳ではないのだけれど、年収10倍UPシリーズや、読書進化論といった過去作品に比べると、少し物足りない感じがした。言いたいことはわかるのだが、本としてのまとまりが少し弱いように思えた。良い事を言っているのだから、とんがり力とかしなやか力とか、わかりにくい言葉を使わなければよかったかもしれない。
この本は要するに、周りの人間を巻き込みながら自分の能力を高めていくことによって、自分の周りに対する影響力が高まり、周りの環境を変える事を含め、自分がやりたいと思うことができるようになるというもの。文中で、自分ひとりで何かをやるのは大変だから、誰かと一緒にやると良い、みたいな事が書かれているのだけれど、結論ではその部分は吹っ飛んでいた。結局やるのは自分だからなぁ。


一応内容を忘れないようにまとめておくと

しなやか力

自分の力を活かしてくれる方法を信頼できる仲間と互いに探りあうこと

したたか力

自分の優れた点を上手に他人との交わりの中で活かし、伸ばし続けるための行動力を身につけること

へんか力

変わった環境に応じて、自分を変化していく力

とんがり力

ある集団において、その人に十分に市場価値があると認められる力

ということになるのだけれど、いかんせん妙な名前が付いていることで内容が分かり難くなっている。概念とか思考を文章にするというのは非常に難しい作業であるから、こういった思考プロセスの説明が分かりにくくなるのは仕方の無いことなのだけれど。
それよりも僕が勝間さんすげーなと思うのは、こうやって色々な本を出版して、しかもそれが一定数売れるということだ。今回のこの『やればできる』なんて、今まで彼女が執筆した作品に比べるとやはり物足りない感じがあるのだが、それにも関わらず、発売直後は書店で平積みされていた。彼女の新の狙いはわからないけれど、その事実だけで僕は十分すごいと思う。本を売るっていうのは大変なことだ。内容が良いだけでは売れないし、宣伝しただけでも売れない(派手に宣伝すればその本はある程度売れるけれど)。本の評価も結局権威付けみたいなところがあるから、そうした人たちからの信頼を得るということも必要になってくる。インターンネットで権威付けができるようになってきて、少しそうした部分のハードルが下がったかもしれないけど、それでも出版というものに対する敷居はまだまだ高い。だからこそヒット作を飛ばす勝間さんは、それだけですごい人だと思ってしまうのだ。


なんだか褒めているのか批判しているのかよくわからなくなったが、とにかくとんがる。とんがるのは良いこと。