クラウド・コンピューティング ウェブ2.0の先にくるもの

作者:西田宗千佳
出版社:朝日新書
発売日:2009/1/30
評価:★★★★

クラウド・コンピューティング ウェブ2.0の先にくるもの (朝日新書)

クラウド・コンピューティング ウェブ2.0の先にくるもの (朝日新書)

クラウド・コンピューティングが話題になっているが、「結局クラウドって何?」と思ったので読んでみた。
内容が興味深く、文章も洗練されていて、非常に僕の好きなタイプの本だった。

内容

  • ローカルにあったソフトのウェブアプリ化
  • 携帯電話をはじめとする電子機器のネット端末化
  • データの保存はローカルからネット(雲)の向こうへ

このような変化によって、今までローカルにあったものが全てクラウドの向こう側へ移動する。
同時に、携帯電話をはじめ様々な端末から"いつでも・どこでも"そのデータを利用できるようになる。
そのような現象を「クラウド」と呼ぶのである。
クラウド化が進めば情報へのアクセスとツールの利用が容易になる訳だが、デメリットも存在する。

「どこまでデータを預けていいのか」ということは、クラウドにとって根源的な問題である。個人や企業のデータが集積されるということは、そのデータが漏れると、きわめて甚大な被害に直結する、ということでもある。

クラウドは企業においても利用されるようになっている。
もし顧客情報をサーバーに乗せていたら、サーバーに障害が起きた時のダメージは計り知れない。
企業は資源・情報・社会的信用を守らなければならないのだ。
これは個人にとっても同じことが言える。

つまり、情報を"100%"保護できるという仕組みが出来上がって初めて、クラウドは定着する。

感想

クラウドの仕組を理解するという目的は達成できた。
要するにクラウドとは新しい"技術"ではなく"現象"であって、「今の技術を集約したらこんな感じになりました」という訳だ。
まるでWiiのようだな。

クラウドキャズムを超えた時、何が起こるのか?一言でいうなら、「ユビキタス・コンピューティングの定着」ということになる。

クラウドによってユビキタス社会が実現する?