戦略のパラドックス

作者:マイケル・E・レイナー
出版社:翔泳社
発売日:2008/1/17
評価:★★★★

戦略のパラドックス

戦略のパラドックス

今週はずっとこの本を読んでいた。うーん。難しい。
理解できる部分もあったが、理解できない部分も多かった。
特に後半の「具体的なフェーズにおいて、どのように戦略的オプションを利用するか」という部分は僕にとってはだいぶ難解で、もう少し経営戦略というものを学んでから再読する必要があると思った。
以下にメモさせて頂く。

  • (戦略のパラドックスとは)コミットした戦略によって目覚しい成功の見込みを高めようとする企業の行動や特性が、成功の見込みを高めると同時に大失敗の見込みをも高めることになるという矛盾。
  • ソニーは戦略的分析と実行の鏡だった。同社の戦略が失敗したのは、それが間違った戦略だったからではなく、優れた戦略だったからだ。ソニーは戦略のパラドックスに屈したのだ。
  • アップルはこれまで根本的、根源的な戦略的賭けを行ってきており、それは同社の実物資産や組織能力、そしてアップル自身が何であり、何を意味するかという自覚にも体化されている。この賭けは、少しの変化も許さない。だからこそアップルはこれほどまでに協力であり、脆弱でもあるのだ。
  • 緩慢な変化と急速な変化は常に存在するため、どんな適応能力の高い組織でも、適応力以外の、全く新しい何かを持たなければ、予測不可能な環境の要求に対処することは出来ない。
  • 意味のあるほど正確に予測することは不可能だ。なぜなら実績は無意味で、予測の正確さを判定することは不可能で、事象は不可避的なランダム性に支配されているからだ。
  • 戦略的不確実性は時と共に増大するため、階層レベルを上に上がるほど、不確実性のマネジメントの比重が高まるべきだ。
  • 最上位層は戦略的不確実性に対処することに週集中しなければならない。(略)中位層、つまり事業部門の指導者は、既に行われたコミットメントを取り巻く不確実性に対処し、予測できないできない出来事が起こって適応もできないような状況の中で、現在の戦略をできるだけ強固なものにしていかなくてはならない。職能管理者は行われたコミットメントの遂行に全力を注がなくてはならないが、短期的に考慮すべき戦略的選択は何も無い。
  • 同じ種類の戦略の中での多角化が業務上のリスクをヘッジするものであるのに対し、戦略の種類を超えた多角化は戦略的リスクをヘッジする。
  • 戦略的柔軟性は月並みな柔軟性や適応能力とはかけ離れたものだ。(略)戦略的柔軟性とはつまり、企業が成功するために必要なコミットメントを行うことによってほぼ全てを失ってしまう、戦略を変更する能力をいう。
  • それぞれの不確定要素について、将来起こりえる全ての状態を考慮するにあたっては、多くの相反する声に耳を傾けなければならない。全員のコンセンサスを超えるが、たんなる想像上の虚構の手前でやめることが目標だ。
  • この不確実な世界で適切なコミットメントを行うためには、自らの限界を受け入れ、未知のものを認めるだけでなく進んで受け入れた上で、戦略的プランニングを行わなくてはならない。
  • 戦略の効果を高めるには、まず不確実性をはっきり見極め、それがわれわれのコミットメントを行う能力をどのように阻むかをはっきり認識することから始めなくてはならない。(略)なぜなら、戦略は不確実性を無視するのではなく、それを基盤として構築されなければ成功しないからだ。

感想


優れた戦略の実行には同時に大きなリスクも存在するというのが戦略のパラドックスであり、それは経済状況の変化など決して予測するこの出来ない戦略的不確実性によって発生する。
このリスクをヘッジするためには戦略的柔軟性が必要であり、具体的には業種を超えた戦略的多角化を行い戦略オプションを構築しておくこと等が必要となる。
それを成功させたのがビル・ゲイツ率いるマイクロソフトであり、ジョンソン・アンド・ジョンソンもグループ企業を用いて不確実性に対処できる仕組みを作り上げた。


まで理解した。もう少し経営について学んだら再読。
ある分野に対する知識が未熟だと、本を読むスピードと吸収率が全然違う。
特にハードカバーで知識の少ない分野の本を読むと普段より時間がかかって困る。


ちなみに研修で受けた資格試験は合格だった。
来週は事業所見学に行って、再来週からまたコースが分かれるらしい。
職場の雰囲気を味わうとモチベーションも上がると思うので、楽しみ。